皆さんはご自身の“構え”の姿勢をご覧になったことがありますか?
“軽くしゃがみ、ラケットを体の前で持つ”このような姿勢をとった時にもしかして背中が丸まっていないでしょうか?
いわゆる猫背のような姿勢になっている場合、適切なテイクバックができずに強いリターンを返すことができません。さらには腕だけで打ちやすくなることで肘の痛みにつながってしまう、もしくは不必要な腰のひねりのせいで腰にも痛みを生じてしまう可能性もあります。
丸まった背中を改善するためには胸まわりの曲げ伸ばしの動きを良くしていく必要があります。
いかがでしょうか?
効果は構えたときの目線の高さや、胸まわりの緊張が少なくなったという部分で感じるかもしれません。
さらに、このエクササイズはテニスのために行うのはもちろんのこと、普段の姿勢改善にもつながる効果的なエクササイズです。
動作のポイントは息を吐きながらゆっくり丁寧に胸まわりを曲げ伸ばしすることです。胸まわりが硬い人はこのトレーニングを行う時に腰まわりの動きが大きく出てしまい、正しい効果が望めません。
トレーニング前だけでなく、朝起きたときやお風呂に入った後など皆様の生活スタイルの中で数多く実践していただければ変化をより実感しやすいでしょう。
▼ Upperback Extension 矢状面
▼ Upperback Extension 前額面
強力なショットを手に入れるために!
テニス経験者の皆様の中には指導者の方から強い打球を打つために、「腰をひねる」ように指導されたご経験はありませんか?
しかし背骨の中でも腰にあたる部分はもともと左右にひねりづらい部分なのです。
腰をひねっているように見えて実はその上のむねが大きく動くことで体幹全体をスムーズにひねることができるのです。
そこで今回は胸の動きを出すエクササイズをご紹介いたします。
実施してみてご自身の胸まわりの硬さにお気づきになりましたでしょうか?
硬い人の特徴として、胸椎の回旋を適切に行うことができず、腕を振る動作で代わりに頑張ってしまいます。また肩が挙がってしまうと、不必要に力が入ってしまいます。常に肩は耳から離す意識を持ちながら実施してみるとよいでしょう。
大きな動きが出せるようになると、強いショットが打てるだけでなく、テニス肘や腰の障害の予防にもつながっていきます。
継続は力なり。まずは1週間試して変化を感じてみてください!
▼ Gatorchop Separation 前額面
前回から引き続き上半身の動きに関するエクササイズをご紹介します。
ここで一つ実験です。
皆さん肩をすくませた状態で腕を上げてみてください。スムーズに上げづらくありませんか?
肩が上がった状態だと肩甲骨が正しい位置から動き出すことができずに、適切な腕の動きもできなくなってしまいます。
そうなると無駄に腕や肩の筋肉を使いすぎて疲れてしまうだけでなくケガにもつながってしまいます。
そこで今回のエクササイズを実施することで肩甲骨を正しい位置で動かす意識を高めていきましょう。
このエクササイズのポイントは回数を多く実施して、肩甲骨を斜め下に引き寄せる筋肉にじんわり効かせていくことです。勢いをつけて引き寄せてしまうと肩の上に力が入ってしまう、もしくは腰が反ってしまう恐れがあります。
胸を必要以上に前に突き出さず、背中のラインはできるだけまっすぐ保ちながらできるとイイですね。
このトレーニングによって、腕が挙げやすくなったり、スッと伸びた立ち姿勢が手に入ること間違いなしです。
ぜひ継続して実施してみてください。
▼ Blackburn Shoulder Exercise on Floor 矢状面
テニスでは走る、切り返す、踏ん張って強いショットを打つといった動作がありますね。
これらすべての動作に共通するのは脚で地面を押した力を使い“素早く・力強い動き”につなげるというところです。
ここで大事になるのはこの地面と直に接している足首が適切に動くことができるかどうかです。練習のし過ぎで足首まわりの筋肉がガチガチになっていると、十分に足首を動かすことができず、力を十分に体に伝えることができません。
また、足首の動きが悪いとねんざなどのケガが起きやすくなります。それだけでなく膝や股関節にも負担がかかり、他の部位のケガにもつながってしまう可能性もあります。
そこで今回は足首の動きのトレーニングメニューをご紹介します。
足首がもともと硬い人、ケガをして固くなってしまった人は、自分の足首が硬いことに慣れてしまって改善できないと思いがちです。そんな人にこそこのエクササイズをお勧めします。
力任せに足首を無理やり曲げようとせず、回数を重ねるごとに徐々に足首まわりの硬さが取れていくことを感じながら丁寧な動作を心がけてみてください。
トレーニング前のウォーミングアップの一つに入れて頂ければ毎日の変化にきっと気づけることでしょう。ぜひ継続してお試しください。
▼ Ankle Mobility 前額面
▼ Ankle Mobility 矢状面
“体幹と手足を自由に操るトレーニング”
今回は “体の中心の軸を維持したまま手足をスムーズに動かすこと”を目的としたトレーニングをご紹介します。テニスは様々な方向への切り返しの連続のスポーツです。そのため切り返しやステップから強い踏込の実現のためには横方向からの負荷が多い種目でもあります。そこでその負荷に耐えながら自分の姿勢を安定させて強いショットを打つことができるようにトレーニングしていきましょう。
ポイントは横向きの姿勢でも“頭からお尻までまっすぐのラインを保つ”意識をもつことです。
これは立った時の姿勢をイメージすると意識しやすいと思います。立った時に頭が左右に傾く、顎が上がった姿勢というのはあまりいい姿勢とは言えませんよね。
常に競技中の立った姿勢につながるトレーニングということをイメージしてやると効果大です。
自分ではできていると思っていても意外に姿勢は崩れやすいので、もし可能であれば鏡の前で行う、もしくは写真は動画をとってチェックしてみるといいかもしれません。自分のいい姿勢が確認できて、その姿勢をどんな時でも維持できるようになれば少しずつ普段の姿勢や競技中の姿勢が変わっていくことでしょう。
▼ Side Bridge + Hip Flexion
“構え姿勢の安定が勝敗を分ける?”
日本中を熱狂の渦に巻き込んだオリンピックも数多くの名場面を生み、終わりを迎えました。
中でもテニス96年ぶりの銅メダルに輝いた錦織選手の活躍は皆さんの記憶にも強く残っているのではないでしょうか?
そんな彼のプレーを見てみると相手の強いショットや前後左右に打ち込まれたボールに対しても常に的確にリターンをしています。的確に相手コートに打ち返すためには構え姿勢が重要な要因の一つになります。いつでもどこへでも動くことができる安定した構え姿勢を手にいれるために今回はチューブを使ったエクササイズをご紹介します。
重要なポイントは常に動きやすい姿勢をとるために足の幅が狭すぎず、広すぎない幅をとり続けることです。
チューブを使うとそのチューブに負けないように大股になりすぎる場合があります。
大事な目的は常に前後左右どこにでも行ける姿勢を常にとり続けることです。
ですので上半身も肩の高さやおへその位置が移動するたびにブレてしまわないようにしましょう。
自然とお尻の外側が体を支えるためにきつくなってくるはずです。
このエクササイズで意識した姿勢をぜひ実際の競技中にも活かしてみてください!
▼ Lateral Walk
“スクワット”~パワフルかつスピーディーな動きのトレーニング~
テニスは構えた状態から前後左右へと様々な動きを行います。
どの動きにも共通するのは下半身で自分の体を支え、大きなパワーを発揮しなければいけない部分です。
それらすべての動作の基本となるトレーニングがスクワットです。
安定した姿勢から力強いパワーを発揮することができれば、様々な動作に応用することができます。
スクワットのやり方は教えるトレーナーやネットの情報を見ても千差万別です。
ここでは特に“ぶれない姿勢”と“強いパワーを発揮する”ことを意識しましょう。
そのために上下に動いている間は常に靴ひもあたりに体重が乗っているイメージで行うこと。そして上がるときには足裏全体で強く“地面を押す”イメージで行えるとイイでしょう。
降りていく時につま先の方やかかとの方に体重が乗ってしまうと、姿勢も不安定になりやすく強く地面を押すこともできません。
意識の高い皆さまはこのフォームを維持したまま重りを持って負荷を上げてみてもいいかもしれません。
また降ろしてから上がるスピードを速くすればより競技動作の素早い動きにもつながっていくでしょう。
ぜひ実践してみてください!
▼ Squat
日本が誇るトッププレーヤー錦織圭選手の武器の一つでもある“俊敏なフットワーク”はどんなボールにも対応できる鋭い切り返し能力の高さによるものであるといえますね。そんな彼のような素晴らしいフットワークを身につけるべく今回紹介するトレーニングはラテラルランジです。
より速く、より力強い切り返し動作をこのトレーニングによって身に着けていきましょう!
ポイントは外側に踏み込んだ時のおへそと頭の位置です。この2つの位置が踏み込んだ勢いで外側に倒れすぎてしまうと、元の姿勢へと素早く戻ってくることができません。
着いた脚よりも内側におへその位置があること、そして着いた脚で地面を押し、そのおへそに向かって素早く返ってくることが大事になります。
ここまでテニス競技につながる正しいし姿勢づくりから実際の競技動作に近い切り返し動作までのトレーニングをご紹介してきました。ぜひこれらのメニューを参考に“第二の錦織圭選手”目指してトレーニングに励んでください!
▼ Lateral Lunge