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ジュニアチーム監督現場レポート
成長期への配慮と伸ばす指導

保護者の皆さんにとって、わが子の指導内容は大いに気になるところ。「なぜうちの子だけみんなと練習メニューが違うの?」「試合と関係ないことばかり…」と気をもむこともあるでしょう。
指導側の意図を理解し、よりよい関係で子どもたちを見守ってあげられるよう、今回はジュニア指導者が現場で配慮すべき問題や指導法について解説します。バスケット選手として、コーチとして、輝かしい経歴を持つ倉石先生にお話を伺いました。

倉石平先生
倉石平先生

発育発達を考慮する

「ミニバス」という形でジュニア期から競技に触れる機会の多いバスケットボール。近年のNBA人気や日本でもプロリーグの立ち上げなどで観る機会が増え、有名選手の華麗なプレーに憧れてバスケットを始める子どもたちは多いです。しかしここで忘れてはならないのは、彼らは成長期にあるということ。この時期の身体はまだ十分に発達していません。あまりにも勝敗にこだわると身体への負担が大きく、思わぬケガにつながる可能性があります。ジュニア選手においてまず大切なのは、「基本」を忠実に行うことです。また(筋骨格系より先に)神経経路が発達するこの時期は、その発達を促すトレーニングを取り入れる必要があるでしょう。
そしてもう1つ、精神面での発達も考慮しなければなりません。早いうちから成長を強いられるとバーンアウトに陥りやすい。めいっぱいがんばり続けることを強いられた子が、そこまでの苦労に見合う価値を感じられなくなったとき、選ぶ道は1つ――「もうバスケなんかやりたくない」


伸ばすための指導

バスケットに要求される要素は、運動の3原則「走・跳・投」全てです。この3つをバランスよく兼ね揃えている子がスーパースターになる素質を持っていることになるのです。しかし現実は、肩の強い子、ジャンプ力のある子、足の速い子など、特徴のあることが普通です。したがってその特徴を生かし、その子が一番力を発揮できるポジションを与えてあげるのが指導者の役目と言えるでしょう。トレーニングにおいてもこの3要素をバランスよく鍛えるようにしますが、筋肉の発達は個々で違います。ある程度のところまで行ったら個人差を考慮し、個々の特徴をうまく伸ばす指導が必要になります。

いかに集中させるか

何に対してもそうですが、集中力があって、その場その場を楽しめる子がこの時期は伸びます。キョロキョロしていて心ここにあらず、という子に良い成績は収められない。ただしいろんなことに興味が向かう時期でもありますから、指導する側は子どもの気持ちが散らないくらいうちこめるメニュー、環境を提供することも重要でしょう。テレビゲームが良い例ですよね。子どもはおもしろくて興味があるものに集中する。それと同じ状況をバスケットにおいても作り出せるように指導者が工夫していくことも必要です。

個人同士のぶつかり合いが成長を生む

バスケットは「究極のチームスポーツ」とも言えます。たった5人でチームを構成しながら、1人でもできる要素を持っている。ゴールまで完結できる能力を持つ選手は、1人でもどんどん試合を進めていきます。これも1つのチーム構成としては考えられますが、逆に5人で作る流れもある。つまり個人プレーもあり、チームとしての喜びも感じられるという特殊な競技なのです。
個人プレーを押し通せる子はバスケット選手として伸びていく要素があると考えます。そうなると子どもたちの間で個々のぶつかり合い、個性のぶつかり合いが生じることになりますが、このぶつかり合いが(人間的な成長の面から言っても)良い結果を生むことが多いのも事実です。逆に回りを受け入れてばかりの子はあまり伸びない傾向にあります。自己主張するタイプの子のほうが教えやすいしチームとしてもまとまりやすいですね。
とはいえジュニア期のチームルールとして、挨拶・礼儀の問題も欠かせない。わがままを押し通そうが、どんなプレーをしようが、最後はフェアプレーの精神でルール守らせるよう教育しないといけません。
スポーツを通して、心身の成長にともない、人間的な成長も遂げていってほしいですね。

PROFILE

倉石 平 (くらいし おさむ)
早稲田大学時代に、日本選抜に選出され、その後熊谷組に入社。現役時代は日本代表に3度選出される。引退後、熊谷組のヘッドコーチに就任。日本リーグ、天皇杯で計3度の優勝を遂げる。熊谷組バスケットボール部の休部に伴い、日本初のプロバスケットボールコーチとして、大和證券バスケットボール部ヘッドコーチに就任。その後筑波大学大学院へ入学。卒業後、日立サンロッカーズのヘッドコーチに就任、早稲田大学スポーツ科学部客員講師に就任。現在、MIPスポーツ・プロジェクト理事長、早稲田大学スポーツ科学部助教授、NHKでのNBA解説者も務める。

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